ビタモは熱しやすく冷めやすい

　1親等直系血族、回りくどいこといわなければ、つまり娘からの「どこかに行きたい」というリクエストを受けた。
　だが、希望日はGWのど真ん中であるというのに、現在はGW直前、出発まで1週間くらいしかない。普通なら全然無理、東京ネズミーランドでお茶を濁したいところである。だが、泊りがいいという。TDLに泊まりでも「あり」なのだが、bitamoが棲む埼玉から浦安では近すぎて泊まる価値がない。「ああいうホテルは、関西とか遠くのお客さんが泊まるもんだ」と思った瞬間、「あ、じゃあ、大阪のユニバーサルなんとか（USJのことである。この時点で、まだ施設名を正確に言うことができなかった。だっせえ！）だったら泊まりで行く価値があるな。」とbitamoはひらめいてしまった。ふざけた動機なのである。

　だいたい、bitamoの行動パターンは、このような突然のひらめきから生まれる。思えば、東日本の県は大体制覇したが、西日本はまだ行ったことがない県がたくさんある。大阪はその中のひとつ。趣味の素人ちんどん屋で「大阪ラプソディー」はbitamoの18番として散々演奏してきたが、未だに行ったことがない。「映画を観ましょか　それともこのまま　道頓堀まで　歩きましょうか・・・」道頓堀って、どないなところやねん？？？

　しかし、問題は旅費である。シーズンOFFなら、飛行機とか新幹線とか格安パックがありそうなものだが、ハイシーズンも超ハイシーズン、絶対無理な金額と予約状況。ここで、bitamoが好きな移動番組「水曜どうでしょう」のサイコロを思い出す。「高速夜行バスってどうよ」

　仲間のカネコ君が、昼間「あ、大阪行こうかな」と思いつき、その場で電話をかけて、夜にはバスに乗って大阪行ってきました、と言う話を聞いたことがある。（カネコ君は林業に従事しているが、本当の職業は「旅人」だと、仲間は皆思っている。）カネコ君と、大泉洋とミスターのまねして、夜行バスに決定！

　だが、当然どこの格安バス会社もいっぱいで、一時あきらめかけたが、夜中までネットサーフィンして、出発前のわずか4日前の午前2時、奇跡的にバスと宿の予約完了！バス料金は片道おおむね5000ペリカである。本気を出せば不可能なことはないのである！

　1泊4日、聞いただけで身の毛もよだつ、準弾丸OSAKA　USJ　弾丸ツアーのスタートなのである！
　（この時点では、まだUSJのことを、bitamoはUFJなどと間違って行ってしまうくらい、予備知識ゼロ。）

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　新宿発23時50分、常識はずれの時間である。bitamoの常識から考えると、普通ならこの時刻に新宿にいるのは、酔っ払いか不良の2種類の人種しかいないはすである。だが、GW真っ最中の西口エルタワー前は、善良な貧乏な旅人でごった返している。bitamoが散々通った中古カメラ店の近くであるから、店をのぞきたい気持ちをぐっと抑える（この時間じゃとっくに閉まってるけど）。

　エコノミークラスのバスがやってきた。

　乗り込んだ客を見た所、20台の若者98パーセント、のこりはbitamoのような中年。男女比は5分5分、カップル率30パーセントと言ったところだろうか。このような場所での人間ウオッチングは楽しい。20代のキレイな女性が、なぜか下はジャージ。若いが旅のプロのようである。深夜バスで、きついパンツスタイルは厳しいことを知っている。bitamoの隣は、20代後半の男性一人旅。遠距離恋愛の彼女にでも会いに行くのだろうか。
　走り出して、「さー、のむぞー」と350缶のビールを飲む。乗務員が「あと15分で完全消灯します」と告げる。「えー、これだけじゃねれないYO！」気がつくと、カーテンがすべて閉められ、エロビデオを見ながら走る、消防団のバス旅行のような状態、そのうちに運転席の後ろのカーテンも閉められ、景色一切なし！電波少年で成田に向かう猿岩石のような気分！唯一iphoneのマップ機能だけが現在位置を知る手立てであったが、消灯後は光の出る器具は一切禁止だと言う。最高につまらねえじゃねえか！


　この後、漆黒の車内では、私語も禁止され、GWとは思えないつまらない静寂が訪れた。
　うーん、視覚を閉ざされ、おしゃべりも携帯も禁止。失敗だったかな、夜行バス。だが、

　乗り込んだ以上、後戻りはできない。


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　車が渋滞しているようだ。配布されたブランケットをかぶり、iphoneで御殿場であることを確認。渋滞の名所だ。やっと第一の休憩場所、富士市のSA。トイレの中で、からになった缶ビールの缶に、角瓶のウイスキーを詰め、用意してきた凍らせた「いろはす」の冷水で水割りを作る。御殿場でおてんばな行動なのである。乏しい財力は、たくましい発想力でカバーできる。うーん、でもー、なんで未成年みたいに、こんなにコソコソしないといけないの？
　タバコをすいながら、一気飲み。これで、後半は寝れそうだよ・・・。もう、大いびきかいてやるんだから！（車内では、いびきは禁止されていない。）


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　気がつくと、読むことのできないSAについた。もう明るくなっている。

　「パパ、ここどこなん？」
　「しらねえなあ、名古屋あたりじゃねえんか。鈴鹿サーキットとか書いてあるから、三重県かもね。」

　無知な親子の間を、時間があっという間に通り過ぎ、渋滞の影響で1時間半くらいオーバーして大阪駅到着。夜通し運転するひとり新潟釣行より、疲労は少ないようだ。普段から無理な夜行釣行をしているbitamoには、さほどつらいものではなかった。だが、娘たちには不評。顔にふまんがにじみでてるぞ、おい。
　駅前のアーケードでそばにて朝食。だしの色が薄くてステキ！

　あ、これはイミテーションです。


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　大阪駅から、UFJ　USJ　までは電車で行く。ああ！ウッディ・ウッドペッカーの電車ではないか！

　子供たちは知らないキャラの様だが、bitamoにとってはテレビが白黒だった頃から親しんだキャラクターだ。逆に、ミッキーマウスにはそれほど憧れはない。ジェネレーションギャップを感じる。

　そして、本当に5000ペリカで来てしまった、USJ！

　娘二人、バスの疲れが吹っ飛び、「がつがつ乗ったるで！」モード突入！

　このテーマパークは、すべてカネ次第である。カネを出したやつほど、たくさんアトラクションに乗れるようになっている、と言うことは直前に会社の「ミヤタ君」からレクチャーを受けている。ここからは、惜しみなくカネを使っていこう！
　入場券と、4回分のファストパスに該当するブックレットを買う。7回分のやつは売り切れであった。


　カネを出したやつは、カネを出さないやつの前に堂々と割り込むことができる。このようなことが文明国日本であっても良いことなのであろうか？？？



　まあ、そんなことはどうでもいい。さあ、どんどんいってみよう！


　まずは、スパイダーマン。最高!最高！TDLスターツアーズが7寸イワナだとしたら、スパイダーマンは尺ヤマメ！比喩的に変だが、要するに格が違うということなのである。48歳のbitamoにも、高校生と短大生の娘にも、共通した感動を与えてくれる。さすが、ユニバーサル、こういうものを作れる米国と戦争しても、日本が勝てるわけがない！！！

　次は、バックトゥザフューチャー。科学技術の流出のために撮影が禁止されているが、bitamoは搭乗口だけこっそりと盗撮。

　これもいい。なにせ、bitamoはこの映画自体が大好きなのである。主人公のマーティーがアトラクションに出てこないが、どうしてだろう。時間旅行中なのだろうか。街中で、ドク（エメットブラウン）が運転するデロリアンを見かけた。クールなデザインだ、かっこよすぎる！！！


　次はジョーズ。48歳のbitamoのはずかしい醜態を、知らん兄さんが冷めた目で見る。「おっさん、頭変なんとちゃう？」


　ジョーズはブックレットを使えないので、110分待った。TDLでなれてるから、110分の待ち時間なんて普通普通。ジャングルクルーズよりつくりがよく、さらに水先案内人はしゃべくりジョーズな関西人、盛り上がる！埼玉のお嬢さんたちも、エンターテインメント系の部活だから、当然船内の盛り上がりに協力！


■■■5000ペリカで東京から大阪まで行けるのかーっ　その弐につづく■■■